子どもにも増えている!歯肉炎は早めに治しましょう
近年子どもの歯肉炎が増えており、歯科ではそれを懸念する声もあがっています。歯肉炎とは一体どのような病気で、治療する場合は何を行うのでしょうか。ここでは、子どもの歯肉炎が心配されている理由と合わせて説明していきます。当てはまることがないかどうか、ぜひチェックしていただき、気になる点があれば歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯肉炎ってどんな病気?
歯肉炎や歯周病という言葉をご存知の方は少なくないと思います。歯肉炎とはどのような病気なのか、また歯周病との違いを知っていますか。歯肉炎は、歯周病の初期の段階に当たるものです。
歯肉、つまり歯茎に炎症が起きている状態のことを「歯肉炎」と呼びます。
さらに歯茎に起きていた炎症が進行すると、歯を支えている骨にまで及びます。これを歯周炎と呼び、歯肉炎と歯周炎を合わせて「歯周病」と言うのです。
近年は、子どもの歯肉炎も増加しており、早期の歯周病で歯を失ってしまう恐れがあるのではないかと懸念されています。
■歯肉炎とは
お口の中の歯周病菌などが原因となって起きる、歯茎の炎症です。歯茎が赤くなって腫れたり、歯磨きをした時に出血が見られたりします。ただし、歯ブラシが歯茎の境目までしっかり届いていないと、本来は出血するほどの炎症が起きているのに、出血しないこともあります。出血することによって自覚される患者様がほとんどのため、気付かないうちに見逃してしまう可能性もあります。さらに進行した歯周病になり、自覚症状が顕著になって初めて気が付く人もいるというのは、このような理由からです。
■歯肉炎の原因
食事をして歯を磨かないでいると、歯垢(プラーク)という白いものが歯に付いているのを見たことはありませんか。これはお口の中の細菌が、食べかすなどを栄養にして作り出した菌の塊です。
歯周病菌だけではなく、虫歯菌も含まれます。食後に歯を磨かなかったり、十分な歯磨きができていなかったりすると、この菌の出す毒素によって歯茎に炎症が起きてきます。前述したような赤みや腫れ、出血などを引き起こすのです。
歯肉炎はどう治療する?
歯肉炎になってしまった場合は、どのように治療をしたら良いのでしょうか。基本的には、原因となっている歯垢(プラーク)をできるだけしっかり取り除くことです。
さらに、もし歯垢が硬くなった状態である「歯石」が付いているのであれば、歯科医院で除去してもらう必要もあります。つまり、原因となっている歯垢・歯石を取り除き、新たに溜まらない状態を続けることが大切、ということになります。
■歯肉炎になってしまったら歯科医院へ
もし「歯肉炎かもしれない…」と思ったら、なるべく早く歯科医院へ行きましょう。早く行けば行くほど、早いうちに炎症がおさまる可能性も高くなります。歯科医院では、次のような治療を行います。
・歯周病の検査
歯と歯茎の隙間にある溝の深さを測り、歯茎の炎症や歯周病の進行具合、出血の有無などを検査します。
・歯石除去
歯石や歯垢が見られる場合には、スケーラーというお水と振動の出る専用の機械を用いて取り除きます。
・歯磨き指導
新しい歯垢が溜まってしまうと、また歯茎に炎症を起こす原因となり、炎症を抑えることが難しくなります。そのため新たな磨き残しが生じないように、歯垢が溜まりやすいところや炎症の起きている部分の、正しい磨き方を教えてもらいます。自宅でのセルフケアでできるだけ歯垢を溜めないようにすることで、改善されていくからです。
歯肉炎にならないようにするために
歯肉炎を予防するためには、何に気を付けたら良いのでしょうか。まず、できるだけ歯垢が残らないように歯磨きをすることです。歯垢は毎日生じるため、毎日のセルフケアは重要になります。また、歯ブラシだけではなくデンタルフロスや歯間ブラシなど、歯の間をお掃除する道具を使うことも必要です。
一見目で見てわからない程度の歯垢でも、ほんの少し残っていれば、それが歯肉炎の原因となるからです。
セルフケアの方法やコツは、一人ひとりお口の状態や特徴によって異なります。大人はもちろん、子どものうちから歯科医院で指導してもらい、効率の良い歯磨きを身に付けるようにしましょう。
定期的なメンテナンスで歯肉炎を予防しましょう
今回は、歯肉炎がどんな病気であるかや、歯肉炎の治療についてお話しました。毎日のセルフケアを頑張っていても、自分でお口の中の歯垢を100%取り除くことは困難です。
なぜなら、お口の中は狭くて暗い場所です。
自分では見えない部分もありますし、誰でも磨き癖によって苦手な場所もあります。特に歯並びのガタガタしている所がある方は、歯垢が溜まりやすいため歯肉炎になる可能性も高いと言えるでしょう。
磨き残してしまうことは決して悪いことではありません。100%磨かなければいけないのではなく、お口を健康に保つために、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが必要だということです。
最低でも半年に一回は歯科医院へ通うようにしましょう。